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法定後見と任意後見はどちらが優先?

 

任意後見が開始しているにもかかわらず法定後見開始の審判を申立てたり、
法定後見が開始しているのに任意後見契約に基づく任意後見を開始する・・といったことができるのでしょうか?
法定後見と任意後見はどちらが優先するのでしょうか?

任意後見は、ご本人の判断能力が十分あるうちに、ご本人が自ら将来のために考えて実行(契約)しているのですから、
自己決定権を尊重し、法定後見よりも任意後見が優先されることになるのが原則です。

従い、任意後見契約が登記されている場合には、原則として法定後見の開始の審判をすることはできず、
その結果、任意後見契約が登記されている場合は、ご本人の判断能力が低下して、申立権者による任意後見開始の申立てがなされれば、任意後見監督人の選任の審判がされ、任意後見人が、任意後見事務を開始することになります。

この場合、前になされていた法定後見開始の審判は取り消されます。

ただし、上記のような場合であっても、「ご本人の利益のため特に必要があると認めるとき」は法定後見の審判が維持されて、任意後見制度に必要とされる任意後見監督人は選任されません。

これとは逆に、任意後見契約が登記されている場合でも、「本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り」法定後見の審判ができる場合があり、その際は、任意後見契約は終了してしまいます。