本人死亡による後見(保佐・補助)終了時の手続き1(家庭裁判所と相続人への報告)
ご本人が亡くなると後見(保佐・補助)は終了します。
亡くなった時点で終了するということは、それまで日常的に行ってきた、
「銀行に行って介護サービス利用料を支払う(振込む)」
「市役所で要介護認定の更新手続きを行う」
「空き家となっている自宅の管理」
といった行為だけでなく、これから必要となる
「葬儀の打合せや葬儀費用の支払い」
「お墓や納骨の準備」
「最後の入院費用の支払い」、
「自宅アパートの引渡しや家財の処分」
といった行為もできなくなるなど、本人死亡による後見終了時の手続きは、法律の不備もあって難しい問題が多く含まれています。
家庭裁判所へ報告
ご本人が死亡したときは、すみやかに裁判所書記官にその旨を連絡します。電話で構いませんが、入手までに時間がかからないのなら、電話連絡に代え、死亡診断書のコピーまたは除籍謄本を家庭裁判所に送付して知らせる方法でも問題ありません。
そして、後見人の在職中に生じたご本人の財産上の収入及び支出を明確にし、現在の財産額を計算します(管理の計算)。
管理の計算が終了したら、もし、家庭裁判所への死亡の報告が電話連絡のみの場合は改めてご本人が死亡した旨を報告し(死亡診断書のコピーまたは除籍謄本を添付)、財産目録を作成添付し、前回報告した時点以降の後見事務について報告します。
後見人(保佐人・補助人)が報酬を請求するのであれば、この報告の際に一緒に報酬付与の審判も申立てます。
そして、相続人等への管理財産の引渡しが完了したら、家庭裁判所にその旨の最終報告を行って終了となります。
相続人等へ報告、財産の引継ぎ
後見人等は、ご本人が死亡してから2ヶ月以内に、後見事務の管理の計算をしなければなりません(民法870条)。
管理の計算とは、先程もご説明しましたが、「後見人の在職中に生じたご本人の財産上の収入及び支出を明確にし、現在の財産額を計算すること。」です。
管理の計算を終えたら、ご本人の相続人に管理の計算を報告します。この場合、相続人が複数いる場合は、原則として相続人全員に対して管理の計算を報告する必要があると思われます。