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成年後見・保佐・補助開始申立てに必要な「医師の診断書」や「診断書付票」とは? 費用はどれくらい?

カテゴリー : 必要な費用や書類

 

家庭裁判所は、本人の精神の状況について鑑定しなければ、後見・保佐開始の審判ができないとされていますが、診断書の記載等から明らかに鑑定の必要が無いと認められる場合には、鑑定を省略することもあります(実際、省略されるケースが非常に多いです。)。

一方、補助及び任意後見については鑑定を要しないものとされ、医師の診断書で足りるとされていますが、これらについても必要に応じて鑑定が行われる場合があります。

そのため、後見等の申立てをする場合には、本人の精神状態について医師の診断書を提出する必要があります。

この、後見等の申立てに添付する診断書については、最高裁判所事務総局家庭局が「成年後見制度における診断書作成の手引」という手引きを公開しています。

 

診断書の依頼はどこに?、診断書には何が書かれている?

申立ての際に提出する診断書や診断書付票の作成は、まずは、ご本人の主治医に依頼しましょう。

もしも、(専門では無いからできない等)主治医に断われてしまった場合には、その主治医に診断書を作成できる他の病院(医師)を紹介してもらうなどすると良いと思います。

診断書には、診断名や所見の他、判断能力についての医師の意見を記載する欄があり、意見は、

  • 「自己の財産を管理・処分することができない。(後見相当)」
    「自己の財産を管理・処分するには、常に援助が必要である。(保佐相当)」
  • 「自己の財産を管理・処分するには、援助が必要な場合がある。(補助相当)」
  • 「自己の財産を単独で管理・処分することができる。」

の4つのうちいずれかをチェックするのが基本となっています。


更に、意見には判定の根拠(検査所見・説明)を記載することが求められおり、判定の根拠としては、

  • 「見当職」
  • 「他人との意思疎通」
  • 「社会的手続きや公共施設の利用(銀行との取引、要介護申請、鉄道やバスの利用など)」
  • 「記憶力」
  • 「脳の萎縮または損傷」
  • 「各種検査(長谷川式知能証スケール・MMSE)」

といった項目について回答することになります。

なお、診断の作成にかかる費用は5,000円~12,000円くらいとお考え下さい。

 

鑑定に備え「診断書の付票」も提出する必要があります。

冒頭に、「診断書の記載等から明らかに鑑定の必要が無いと認められる場合には、鑑定を省略することもあります。」と述べましたが、家庭裁判所が、診断書の記載だけでは判断ができない場合、鑑定が行われることになります。

その鑑定が必要になった際に、診断書を作成した医師が
「鑑定もやってくれるのか?」、
「もし鑑定もやってくれる場合、その費用はいくらか?」
といったことなどを事前に把握しておく必要があり、それらが記載された書面が「診断書付票」です。

診断書の作成を依頼する際に一緒に診断書付票も渡しておくと良いですね。