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後見人(保佐人・補助人)は辞められる? ~辞任手続~

カテゴリー : 親が認知症のとき

 

  • 「祖父が亡くなり、母が相続人の一人になっているのだが、母は認知症のため、後見人を就けないと相続手続きが進められない(遺産分割協議ができない)と知人から聞いた。母のために司法書士に後見人になってもらい、相続手続きが終わった時点で、後見人を辞めてもらいたいのだが可能か?」

 

  • 「判断能力のない父の老人ホーム入居費用を捻出するために、父名義の自宅不動産を売却しなければならないのだが、インターネットに、後見人を就けずに(息子が勝手に)父の自宅を売却することはできないと載っていた。とりあえずは自分が後見人となっても構わないが、不動産の売却が終わった後は後見人を辞めたい。」

 

  • 「母の補助人であるが、財産管理や家庭裁判所への報告が大変なので、やっぱり辞めたい。」

 

  • 「1年前に叔父の保佐人になったのだが、叔父はとてもわがままで、最近は私に罵声を浴びせるようになった。もうこれ以上、叔父とはかかわり合いたくなく、保佐人を辞めたい。」

時折、こんなご相談が寄せられるのですが、
後見人(保佐人・補助人)は、一度就任すると自由(勝手)に辞めることはできず、辞任するためには家庭裁判所の許可が必要です。

何故ならば、成年後見制度は判断能力が不十分な人の権利を擁護するための制度であって、もし自由に辞めることができたとしたら、ご本人の利益を害する恐れがあるからです。

また、自分勝手な理由では家庭裁判所は辞任を許可してくれず、家庭裁判所の辞任許可を得るためには「正当な事由」が必要です。

 

後見人(保佐人・補助人)辞めるための「正当な事由」

家庭裁判所が辞任を認めてくれる「正当な事由」とは次のようなケースです。

  1. 職場や家庭の事情により、ご本人の居住地からは遠方に移住しなければならなくなり、後見事務を遂行していくことに支障が生じた場合。
  2. 高齢または病気のため、後見事務を遂行していくことが困難な場合。
  3. ご本人やその親族と仲が悪くなり、後見事務を遂行していくことが困難な場合。

 

辞任の際は後任の後見人を立てる必要があります。

後見人(保佐人・補助人)の辞任によって、新たに後見人等を選任する必要が生じたときは、辞任した後見人は、遅滞なく、後任者を選任するための申立てを家庭裁判所にしなければなりません。

「遅滞なく」と申しましたが、ご本人を支援する人(後見人)がいない状態が一瞬でもあることは望ましくないため、実際は、辞任許可の申立てと一緒に後任の後見人選任の申立てを行います。