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後見人を辞める方法(辞任手続)

カテゴリー : 親が認知症のとき

 

後見人は、家庭裁判所が正当な事由があると認めた場合にしか辞任することができません。
これは、成年後見制度が判断能力が不十分な人の権利を擁護するための制度であって、もし、自由に辞任ができるとしたら、ご本人の利益を侵害する恐れがあるからです。

 

後見人を辞めるための正当な事由

後見人の辞任が認められるための「正当な事由」とは具体的には次のようなケースをいいます。

  1. 後見人が、職場や家庭の事情で遠方に住居を移さなければならなくなり、後見事務を遂行していくことに支障が生じたとき。
  2. 後見人が高齢になり、または、病気にかかり、後見事務を行うことに支障が生じたとき。
  3. 本人またはその親族との間に不和が生じ、後見事務を遂行していくことが困難となったとき。
  4. 後見人の職務が長期に渡り、その負担が過重になっている場合。

 

後見人辞任の許可を求める申立ての手続き

後見人の辞任許可は、後見開始の審判をした家庭裁判所に申立てます。

申立書の「申立の趣旨」欄や「申立ての理由」欄にそれぞれ該当する事由を記載します。
なお、申立書の雛形(書式)は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

申立ての手数料は800円で、収入印紙で納めることになります。

また、登記手数料として1,400円分の収入印紙も予納する必要があります。

そのほか、郵便切手も必要になりますが、種類や金額は家庭裁判所によって異なりますので、申立先の家庭裁判所に確認すると良いと思います。

更に、添付書類として、

  • 申立人の戸籍謄本
  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の戸籍附票

なども求められることもありますが、これも家庭裁判所によって取扱いが異なりますので、申立先の家庭裁判所に確認すると良いと思います。

民法845条により、後見人の辞任によって、新たな後見人を選任する必要が生じたときは、辞任した後見人は、遅滞なく後任の後見人を選任するための申立てを家庭裁判所にしなくてはならないと規定されていますが、一瞬たりとも後見人がいない時間を設けるべきではないので、実務においては、辞任許可を求める審判の申立てと同時に、後任の後見人選任の申立てを行います。