どうすれば認知症の母の財産を管理できるの? 成年後見人になるには? ~後見等開始の審判がなされるまでの流れ~
成年後見人になるには、家庭裁判所に後見開始の審判の申立てを行い、家庭裁判所に選任される必要があります。
認知症の人がいることを知った家庭裁判所が自ら後見を開始してくれるわけではなく、必ず関係者が家庭裁判所に後見等開始の審判の申立てを行わなければなりません。
後見開始の審判の手続きの流れ
1、申立て
後見等開始の審判の申立書等を作成し、診断書や通帳の写しなどの必要書類の準備ができたら、申立てにかかる費用(収入印紙や郵便切手)と共に、家庭裁判所に提出します(申立てます)。
なお、申立てる家庭裁判所はご本人の住所地を管轄する家庭裁判所になりますので、例えば、ご本人の住所が西東京市や小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市といった東京都下(23区外)の場合、申立先の家庭裁判所は東京家庭裁判所立川支部となります。
一方、ご本人の住所が東京23区内であれば、申立先の家庭裁判所は東京家庭裁判所本庁となります。
2、調査・審問
家庭裁判所に適正な申立てがされると、家庭裁判所調査官又は参与員が、申立人及び後見人候補者から詳しい事情を聞き取ります。
電話で申立ての事前予約をしておき、予約した日に家庭裁判所に出向いて申立てをするとともに、その日に面接も行ってもらえる家庭裁判所もありますので、申立ての前に家庭裁判所に確認しておくと良いですね。
また、家庭裁判所調査官は本人から直接、申立ての内容等について意見を聞き取ることになります。
本人以外の人から保佐開始の申立てがされた場合で、代理権付与を求める場合や、同じく本人以外の人から補助開始の申立てがされた場合には、本人の同意が必要になりますので、本人調査の際に本人の同意を確認することも行われます。
3、鑑定
鑑定とは、本人に判断能力がどの程度あるのかを医学的に判定することで、後見や保佐の場合には原則として鑑定が行われることになっておりますが、診断書の記載や申立人・親族からの事情に鑑定するまでもないと判断された場合には省略されることもあります。
4、家族への意向照会(同意書)
家庭裁判所は、審判をするにあたって、親族に申立ての概要や後見人候補者の氏名を伝え、親族の意向を照会する場合があり、この照会への回答を参考にして審判がなされます。
事前に(申立ての際に)、親族の同意書を提出しておくと、この照会が省略されることが多いです。
5、審判
家庭裁判所は調査や鑑定など必要な手続きをした後に、後見等を開始する審判又は申立てを却下する審判をすることになります。
また、開始の審判をする際には、あわせて、最も適任だと思われる人を後見人(保佐人・補助人)として選任する審判もします。
更に、保佐や補助の場合には、申立てがされている範囲で、代理権や同意権付与の審判もなされます。
6、審判の告知・通知と審判の確定
後見等の開始の審判は、申立人や後見人に選任される人に告知されなければならず、本人に対してはその旨を通知しなければなりません。
この後見等開始の審判に対しては、審判の告知を受けた日から2週間以内であれば、不服申立て(即時抗告の申立て)を行うことができます(誰を後見人に選任するかという審判に対する不服申立てはできません)。
審判書が申立人・後見人に送達されてから2週間以内に不服申立てがなされない場合及び不服申立てが却下された場合には、後見等開始の審判の効力が確定します。
この時点ではじめて後見人になります。