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成年後見と遺産分割協議(相続手続き)

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相続人の中に認知症により判断能力に問題がある方がいる場合、相続財産を分けるための遺産分割協議には、この相続人の代わりに成年後見人を入れる必要があります。

何故ならば、遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければならず、また、判断能力を失っている人は、遺産分割協議に参加することができないと法律で決まっているからです。

判断能力に問題のある相続人(「Aさん」とします)のために選任された後見人は、Aさんのために遺産分割協議に参加するわけですから、Aさんの権利がしっかりと守られるわけです。

 

成年後見人の選任を申立てる際の注意点

成年後見人を選任するのは家庭裁判所になりますが、注意すべき点が2点あります。

注意すべき点の1つ目は、
「必ずしも成年後見人になることを希望した人(後見人等候補者)が成年後見人選任されるわけではない」ということです。

家庭裁判所は、遺産やご本人の財産状況、親族関係、紛争の有無など一切の事情を考慮して適切な人を後見人に選任するため、場合によっては全くの他人(司法書士や弁護士といった専門職)が後見人に選任されるかもしれません。

注意すべき点の2つ目は、
問題となっていた遺産分割協議や相続手続きが無事に終わったとしても、成年後見人は終了とはならず、引き続きご本人が亡くなるまで成年後見は就くという点です。

 

成年後見人とご本人(被後見人)二人とも相続人の場合

例えば、もともとご本人の兄が成年後見人に就任しており、その親が亡くなったとします。

この場合、親の遺産についてご本人と兄(成年後見人)が共同相続人となり、共同相続人間で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するか話し合って合意する必要があるのですが、成年後見人は、ご本人の本人の利益を図るように行動しなければならない一方で、自分自身も相続人ですから、自己の利益の最大化を図る権利も有しています。

こうなると、後見人としては、ご本人をあっちを立てれば自分が立たないという立場に置かれてしまい、これを利益相反と言います。

この場合には、「特別代理人を選任する」、「後見人を追加選任する」、「後見監督人を選任する」、「自分(成年後見人)が相続放棄をする」といった方法にて対応することとなります。