成年後見人と本人(被後見人)が利益相反する場合
カテゴリー : 「財産」を狙う人がいる,頼れる親族がいない

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- 相続が開始し、成年後見人と被後見人がいずれも相続人である場合(例えば、親子ともに相続人である場合)において、遺産分割協議を行う場合。
- 後見人と被後見人がいずれも相続人である場合で、被後見人が相続放棄をする場合。
- 成年後見人が個人的に金融機関から借入れを行うにあたり、被後見人所有の不動産を担保に入れる場合。
これら行為はいずれも「利益相反行為」となり、成年後見人はご本人(被後見人)を代理して法律行為を行うことはできません。
利益相反行為とは?
利益相反行為とは、後見人にとっては利益になるが、ご本人(被後見人)にとっては不利益となるというように、後見人と被後見人の利害が相反する行為をいいます。
このような場合、後見人がご本人の立場にたって、適正な代理権を行使するということは期待できないため、後見人はご本人の代理人にはなれず、別途、家庭裁判所に申立て、特別代理人を選任する必要があります。
なお、後見監督人が選任されている場合は、後見監督人が被後見人を代表して法律行為をおこなうため、特別代理人の選任は不要となります。
特別代理人とは?
特別代理人は、後見人や親族、その他利害関係人が、家庭裁判所に対し申立てを行い、選任を受けます。
後見人が、特別代理人の関与なしに利益相反行為を行うと、当該行為は無権代理となり、ご本人(被後見人)の追認がない限り、効力は生じないことになります。
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