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親族後見人が財産管理で特に注意すべきこと

カテゴリー : 親が認知症のとき

 

後見人が司法書士や弁護士等の専門職ではなく、ご本人の配偶者や子といった親族である場合を、「親族後見人」といいます。

今でこそ専門職が後見人等に選任されることが多いですが、もともと、後見人制度はご本人の親族が後見人になることを前提とした制度です。

後見人候補者がいない場合や、親族が後見人になることは色々と問題がある場合は、家庭裁判所は、司法書士や弁護士等の第三者を後見人に選任することが多いです。

上述のとおり、基本的には親族が後見人になることが一番自然であり、ご本人にとってもその方が良いと考えられるのですが、今まで当たり前のように(ご本人と)一緒の財布で生活してきた親族が後見人になった場合には、次のようなことに注意しなければなりません。

 

(特に)親族後見人が注意すべき財産管理

 
1、無断での借用や使い込みの禁止
これをやると、業務上横領罪に該当し刑罰の対象になります。仮に、すぐ返したとしても許されれません。

2、後見人や親族等への贈与の禁止
贈与は、被後見人本人の資産を減少させる行為なので、原則的にできません。
たとえ相続税対策に効果的な贈与であっても、原則やってはいけません(理由:相続税対策は、ご本人のための行為ではないからです。)。

3、後見人や親族等への貸付の禁止
ご本人の利益にならないので、原則できません。

4、生活費の区別
ご本人の支出はご本人の財産から支出しなければならず、これを言い換えれば、後見人のための生活費は、後見人の財産から支出しなければならないのが原則です。
たとえ、ご本人と後見人が同郷している夫婦や親子関係であってもです。

5、投資や投機行為の禁止
後見人は、ご本人の資産を管理・保全する義務はありますが、積極的に運用して増やす義務まではありません。
従いまして、(例えば)元金保証のない投資や投機行為はできません。

つまり、後見人に就任した以上は、いくらご本人とは夫婦・親子関係にあったとしても、他人様の財産を管理しているという緊張感を持って財産管理を行わなければならないということです(財布は別)。